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「血液は無事合ったみたい。
 後は血が増えててくれるか?やな。」

「大丈夫、って事ですか?」
今のところは、やな。」


血液がきちんと体内に残ってくれてれば
今日のお昼にも退院できる。



私は、今日の午後には笑っていられるのかな?
明日は?
10日後は?
一ヵ月後、一年後は?
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朝4時、自分で歩いて水を飲みに行き
6時、外におしっこに連れて行ってあげると
きちんと自分で立って用を足し
朝ごはんも、いつもの量をきちんと食べた。

10時、おしっことウンチに連れて行った。

きちんとおしっこをして、ウンチもした。
ウンチはもう十分出てるのに、気持ち悪いのか何度も息む。
薬の影響でただでさえ緩いウンチ。
最後は体液しか出てこない。
それでも何度も息む。
家に連れて帰って部屋に入れると、ぽたぽたとお尻から体液が漏れている。

朝、一瞬目がうつろだったこともあり
食欲はある
まだ立てる
お腹の底から声が出る
だけども、念の為に病院に連れて行った。

別のニャンコの診察に、待合室に出てきた先生が杏を見て
「今日はえらい元気がないなぁ。」と言う。
診察室に入ると、先生は
「輸血しやなあかんかもやな。」と言った。
この前よりも、首に力が入ってない。
首を持ち上げる力がないのだ。

だけど、食欲もあってまだ歩けてる。
その状態で輸血を選択するのも、先生にとっては勇気のいる事のよう。

血液検査のため、大切な血を採取。
すぐに注射器に入ってこない。
だって10%もないんだもんね。

次に診察室に戻った時には、もう輸血の準備が進められていた。

9%あったPCVが、今は6.8%しかないそう。
9%でも即輸血の状態だったけど、余力の事を考えて少し様子を見た。
だけど食欲もあって立ててたとしても、さすがにこの数値はもう限界以下。

点滴の準備をしている杏の頭を撫でるのが精一杯だった。
「頑張るんやで。」そう言うと、涙がこぼれそうだった。
だから、ただ撫でていた。
再度診察室に入ってわずか5分で、私は一人でそこを出た。

帰り道、危ないのはわかってるけど涙が止まらない。
対向車の運転手さんには、きっと丸見えだっただろうなぁ。

家に着いてリビングに上がると、李が不思議そうに辺りを見回す。
「あれ?母さん、杏と出て行ったよな?杏は?」
そんな感じ。



病院からは幸いにも連絡がない。
第一の山(輸血を始めてすぐのショック)は乗り越えたようだ。

「なにか、変やなぁ。」そう思いながらも寝てしまった李のお腹が
痙攣のようにぴくぴくしている。

それを見て、「杏、苦しいんかなぁ。」
そんな事を思ってしまう私は、やっぱりまだまだだ。


朝ご飯を食べ終わった杏の顔を見たら
右目から涙が一粒零れた。



ねぇ、杏
あの涙の意味は何だったん?








今日は息子の体育祭。
陸上部の息子は、体育祭が大活躍の場。
見に行く気満々で、早くからお休みをもらってた。
まさか、こんな事が起こるなんて思ってもなかったし。

先日の診察の時、先生に
「木曜日に息子の体育祭があるんですけど…。」
そう言ったら先生は
「行って来たらいいで。」そう言った。

息子の学校は、電車を乗り継いで一時間弱。
「ちょっと杏の様子を見に帰ってくるわ。」とは、言えない距離。

行っても大丈夫なのか?
それとも、傍に居てあげた方が良いのか?
ずーっと悩んでいた。

そしたら昨日の遅くに、学校からのメール着信。
『明日の体育祭は、グランドコンディション不良のため延期とします。』
もう、神様からのプレゼントかと思ったさ。w

で、今日は家にべったり。
しかし、体育祭の予行練習の代休(そんなん必要なん!?)で休みの娘が
友達を連れて来ると言う。

『いつもの事を、いつも通りに』
先生の言葉が頭をかすめる。
警戒心の強い杏は、知らない人が家に入ると吠えるから
余計な神経を使わせてしまうんじゃないかと、躊躇する。
でも、出来るだけ沢山の人に撫でてもらいたい。
人の手のぬくもりは、最高の薬だと思うから。
なので、思い切って来てもらう事にした。
案の定初めは吠えたけど、吠え続ける元気はなかったので
すぐ大人しくなった。w

だけど家に居ると、ほんとロクな事を考えない。
病気の事を少しでも知りたいと思い、ついついパソコンを開く。
たどり着くのは、精一杯闘った子達。
闘ってる子じゃなくて、闘った子。
また涙が出る。

「病気の情報を知りたいから。」
と言う私に、友達は言う。
「もう、ネットはやめとき。
 病気に関しては、先生に任せるしかない。 
 みさは『お母さん』として出来る事をすればいいねん。」


先生が、息子の体育祭や仕事に行く事を勧めるのも
家に居てると、結局は良くない事ばかりを考えてしまうからだろう。
外に出て、余裕を持ちなさいって事なんだと思う。

けど、仕事なら仕方ないと割り切れるけど
休みの日は正直、10分の外出も怖い。

ごめんやで、あかんたれなオカンでさ。



 朝ごはんの後、うつうつと







元気になっているのか
現状維持なのか
悪化を辿っているのか
一見見るだけでは、わからない。

昨日から飲みだしたステロイドの副作用が気になって、ネットで調べてると
同じ貧血にかかったワンコのブログに、時々たどり着く。
そしてそのブログは、虹の橋を渡ったコの方が圧倒的に多い気がする。

「病気の事を調べてたら、亡くなったコのブログにばかり辿り着くんです。」
昨日、先生にそう言ったら
「治ったら安心して(ブログに書き残す)心境にならへんのんちゃうか?」
「けど、こうして治りましたって情報が欲しいじゃないですか?」
「大丈夫!情報は僕が持ってるから。」
先生は自信満々に笑った。

その笑顔をみて、だったら私が書いてやろうじゃないか!
その時はそう思った。

だけど、こうも亡くなったコが多いと
不安ばかりが押し寄せてくる。
もう泣くもんか!
そう思ったけど、不安が涙を連れて来る。

呼吸が荒い。
昨日よりも早い気がする。
気がするだけかもしれない。

ソファーに飛び乗るのに、失敗する。

そんな事が、「もしかして…」と思ってしまう。


友達が言ってくれた。
『結局は本人(本犬?)次第。
 本人が諦めなければ大丈夫。』
って。

杏は諦めてないから、ご飯をしっかり食べる。
生きるために。
ごろんと横になって、力を温存している。
これも、生きるため。
そう、杏は生きる事を諦めてない。
だからきっと大丈夫。

杏を信じなきゃ。

だけど、気持ちはぐるぐるするばかり。


獣医さんに連絡すると、杏も一緒に来てほしいとの事。

診察室に入ると、先生は看護師さんに
本棚に収まっている沢山の本の中から
『貧血』の本を取るように言って
それをパラパラと開きながら、話し出した。

犬のPCV(Ht)値は、40~55%が正常値。
今の杏は、9%。
重度の貧血。
この数値は、死んでてもおかしくないほど最悪の数値だそう。
どん底のどん底、先生はそう言った。

貧血の原因は、主に三つある。

1 血液を自分で作る事が出来るが、失血している

   体の何処からも、尿や便からも、失血はしていない。
   なので、これではない。

2 血液は自分で作る事が出来るが、溶血(溶けてなくなる)している

   この場合黄疸が出るけど、今の杏は黄疸は見られてない。
   可能性がないとは言えないが、多分これでもない。

3 血液を自分で作れない

   血液の殆どは骨髄で作られている。
   残りは脾臓・肝臓。
   その骨髄が機能していない。
   もしくは、血液を作る材料(鉄分やビタミン)の不足。

消去法で考えると、これに当てはまる。
なので、まずはこの治療をして行くとの事だった。

まず
・血液の材料を補う
    これは人用の貧血のサプリを服用。

・赤芽球癆(せきがきゅうろう)の治療
    赤芽球癆=再生不良性貧血のうち
          赤血球のみを特異的に作れなくなってしまう病気。
    この治療は、免疫介在性溶血性貧血の治療と同じで
    免疫抑制剤・ステロイドを服用。

一週間、薬を飲んでみて血液が出来る(増える)か様子を見る事に。

同じ症状(土を舐める・水を大量に飲む)のコーギーが
病院にかかってたんだそう。
今回の杏と同じ治療法で、そのコーギーちゃんは助かったんだそう。
病院にやってきた時は、もうぐったりしてた子が生きている。
その子に比べたら、杏は元気過ぎるくらい。
少し希望が見えた。

「杏の貧血は、非常にゆっくりと進行していったから
 上手く体がそれに慣れてくれたんやと思う。
 今、危ういバランスで均衡を保ってるんや。
 今はこのバランスを崩さん事が一番大事。
 いつも通りの生活を、いつも通りしてたらいいから。
 何か特別な事をしようと思ったらあかんで。
 ただ、高山で生活してる様なもんやから
 決して無理はさせたらあかんで。
 それと、飼い主もな、肩の力抜かんとあかんで。
 『頑張らなっ!』って、気負ったらあかん。
 いつも通りでいいねんで。」


今の状態から、ぽっくりと死んでしまう事はまずないだろうと
先生は言う。
やっぱりその時は、序々に体が弱ってからだと言う。
杏は食べてるから、まだ体力は残ってるはずだから。
だけど、仕事から帰ったら死んでた。
ありえると言う。
急変だって、可能性が0ではない。
そんな事を考えると、仕事を辞める事も頭をかすめてた。

けど、先生は言った。
「(仕事)行ってもいいで。」と。

それが先生の言う『頑張らない』って事?

友達も言った。
『自分を気遣う事。それも意味のある事。』って。

そうだ。
私は私の出来る事を、無理をせずやって行こう。
どれくらい続くかわからない闘いなんだから。

免疫抑制剤・ステロイド・胃を守る薬・貧血のサプリ。
これを食事毎に摂っていく。
後は一週間後、数値が上がっている事を願うだけ。




闘いのゴングが鳴った。
杏がボクサーで、私がセコンド。
一緒に、闘って行く。





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プロフィール
HN:
misa
性別:
女性
自己紹介:

野良出身のにゃんこ三匹
くらら
しいな
たいち
と、暮らしています。


保護犬の幸せ探しのお手伝いを
はじめました。

過去記事は、こちらに。
HP:

2002年10月26日生まれ
プチフラッフィーコーギーの女の子
2016年9月8日
お星様になる
享年 13歳11ヶ月

2012年5月
悪性神経鞘腫と診断され、摘出手術
2014年5月 寛解

2014年9月
糸球体腎炎の疑いありと診断
2014年11月
投薬(ENACARD)開始
2016年3月
投薬(レンジアレン)開始
2016年8月
皮下輸液 開始
くらら

2012年8月くらいに生まれる
野良猫出身の女の子
2012年9月 保護
2013年8月 我が家の子となる
しいな

2013年6月くらいに生まれる
野良猫出身の女の子
2013年8月 保護
2014年6月 我が家の子となる
たいち

2014年5月くらいに生まれる
野良猫出身の男の子
2014年7月 保護
2015年2月 我が家の子となる

2000年10月30日生まれ
コーギーの女の子
2009年12月30日
免疫介在性溶血性貧血で
お星様になる
享年 9歳2ヶ月

コーギースタイル Vol.27

辰巳出版より 2011.5.30 発売

杏の闘病記を掲載していただきました
巻末 P90~P93
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