診察室に入って採血した後、待合室で待っていた。
10分位して先生が診察室から顔だけ出して
「横ばいやな。」そう言った。
検査の結果、ヘマ値は16%。
金曜から、2%のダウン。
先生は私を気遣って「横ばい」って言ってくれたけど
それは、決して横ばいでないって私は思った。
相変わらず、造血反応は薄いらしい。
金曜からステロイドを増量して造血の『きっかけ』を作っていたけど
経口投与では効き目がなかった。
このまま下がり続けると、次の検診の時には間違いなく輸血になってしまう。
輸血はPVCが上がるから、確かに杏の体は楽になる。
だけどその反面、溶血してしまう。
溶血は黄疸となって目に見えてあらわれてしまう。
一ヶ月半前の杏は、生き物がこんなに鮮やかな黄色になってしまうのかと
目を疑ってしまうくらいに真っ黄色だった。
杏をもうあんな風にさせたくない。
輸血させる訳にはいかない。
この前から服用し出したイムランが効き出すのには、早くてもまだ10日くらいかかる。
それまでの時間稼ぎが必要だと、先生は言う。
その通りだ。
イムランが良い方向へ導いてくれるまで、杏には頑張ってもらわないと。
そうなれば今出来る事は、ガンマガードかパルス療法。
ガンマはもう私の中では有り得ない選択。
だったらパルスしか方法はない。
「どうする?」先生にそう聞かれて
今までなら即答できた
「やりますっ!」って返事も
前回のパルスの後の杏の急変の事が頭をちらついて
「主人と相談してみます。」としか言えなくて
一旦待合室に出て、旦那に電話をかけた。
杏がこの病気になって、初めてかもしれない。
手が、ガクガクと震えた。
電話が耳にぶつかるくらいに震えて止まらなかった。
今までは治療に消極的だった旦那も
「先生の言うとおりや。」そう言って、パルスをする事に賛成した。
そしてその数分後には、私は一人で病院を出た。
夜、迎えに行くと杏は
預けた時よりも元気そうに見えた。
帰って、ご飯もいつも通りにガツガツと食べた。
だけど、やっぱりウンチは相変わらず水状で
今朝も、散歩には行きたがらなかった。
昨日帰ってからの様子を先生に伝えると
前回の事もあるから、今日は念の為お休みさせて
明日の血液検査の結果を見て、二回目に取り掛かるかを検討する事にした。
昨夜、夜空を見上げてた。
ふたご座流星群。
どうしても叶えたい願い事があるから。
だけど流れ星どころか、星さえ見えなかった。
今までいくつモノ危ない橋を渡って来た。
何度も
「もう、あかん。」と思ったけど、それでも杏は負けなかった。
だから、今回だってきっと大丈夫。
大きな事は望まない。
横ばいで良い。
見えなかった流れ星にそう願ってる。
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